見えるものと見えないものと本当と嘘と

「笑顔をつくろう!」
その張り紙を見て、もう、何も言えなくなった。

ほとんど涙すら覚えるけど、そうまでして殻に籠ろうとする気持ちは分らない。共感出来ないところがある自分も、とても、冷たい人間に思えてならない。
自分のことすらちゃんと出来ないあたしだから、頼ってももらえない。正直、助けられる気もしないけど。
思っていることを伝えるのに、いちばん大事なのは、誠意とか言葉とかそう言うもんじゃなくて、タイミングだと思っている。必要な時に、必要な言葉を。
まだあたしには何も言えない、誰にも話せない。

だからこそ言えることがある。
共感から初めて。
人と出会う時、話を聞く時「分らない」と思う前に。
考え方の違いが何だ、おかれた状況の違いが何だ、年齢や性別の違いが何だ。そんなもの、同じように血が流れていて傷つけば同じように痛みを感じるのだという事実の前にどれだけの意味があるんだ。
全てが分り合えるとは言えない、それこそ嘘だ。だから、だからこそ、理解し合わなきゃいけないし、そのためには、わずかでも良い、大きくなくても良い、共感を、通じ合える何かを見つけて、それを支えに関係を作れば良い。何かはあるはずだ。どんなに意見が食い違って、価値観が合わなくても、何かが。
人の心は見えない、本当か嘘かなんて、仕分けることがナンセンス。本当と嘘、見えるものと見えないもの、そう言うものひっくるめて、その人だ。そして、現実だ。見えるものと見えないものと本当と嘘がある、ということを頭に叩き込んでおかなきゃ行けない。目に見えるものが全てではない、見えないものが全てでもない。分らないと突き放さないで、通じ合えるはず多と思って投げ出さないで。ってゆうか、投げだせられる程度のものなら捨ててしまえ。大事にする気がないならとっとと諦めてしまえ。
でも、大事にするなら抱きしめていて。壊れてしまっても後悔しないように、いつだって精一杯をぶつけて欲しい。凌ぐように暮らさないで、目一杯楽しめるように時間と知恵を使って。
生きるのって難しい、そう思うあたしがいる。それでも、諦めるのはよそうと決めた。それからはどうやって豊かにしようか考えている。倣って欲しいと思うわけじゃない。
ただ、だれも、暗い方へ落ちていくために生まれてきたわけじゃないはずなんだ。そう思うだけ。

Monthly 2010.02

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