『ほんとうの環境問題』を読む

著者は養老孟司さんと池田清彦さん。1/3は著者二人の対談だが、その他はほとんどが池田清彦さんの書かれた文章ですね。
何というか、遠慮のない物言いが清々しい。
いろいろと知らない事がたくさんあって、へーっと思ってみたり、呆れてものが言えなくなったり。
とりあえず、帯の文章を引用。
日本のように省エネが進んだ世界のモデルのような国が、この上さらに炭酸ガスを減らせという議論をしている。何を考えているのかと思う。(養老孟司)
「本当の問題」を知らされていないという意味で、日本国民は不幸だと思う。京都議定書を守る事が正義だと思って、勘違いしている人がとても多いのだから。(池田清彦)

そうなの?とかそんな事をいうのはけしからん。と思った人は読むべきです。
一つの事柄というのは、多方面から捉えられるものであって、しかしそれは、何も知らなければただ一方からしか見る事が出来ない。
先日友達と話していた時に、とかくエコに従事する人が「聖人」のように取り扱われて、何もしない人が悪いみたいに聞こえる、という話題があった。それをいわれてようやく「あ、踊らされてた」と気付いた。
いまメディアは、今年に入ってから急に「エコ」を大きく大きく取り扱うようになったと思う。洞爺湖サミットのせいもあるのだろうけど、メディアがこぞって「二酸化炭素削減は善なり」とうるさいほどに言い始めて、それを何気なく聞いて、「ふーん、そうかー」と何も考えずに頷いていた自分にこそ赤面だ。
メディアがただで動くはずがない。絶対、その裏には「儲け」が隠れている。
その事をすっかり忘れていた。

エコ活動は大いに結構。ただし、それが本当に省エネで、「問題」に対して「効果」のあるものであればの話だ。
日本が二酸化炭素を6%削減したとする。それで平均気温が何度下がるのか?本書の中にそういう問いかけがある。答えは0.004度。たったの、たったのそれだけ。「それでもなにもしないよりはましだろう!」と言う人もいるかもしれないが、日本はこのたった0.004度の為に、年間1兆円のお金を使っている。はっきり言って、無駄。
また、100年のあいだに二酸化炭素が増え続けることが原因で地球の平均気温が6.4度(最大)上昇するという、ところで二酸化炭素増加の原因とされている石油などの燃料だが、あと40年で枯渇するという。40年でなくなるものに対して、100年のスパンで予測をするのはそもそも正しいのか。
なんか、ぼろぼろ「怪しい」事が出てくる二酸化炭素と「地球温暖化」問題。
極めつけに「地球が温暖化して何が悪い」と著者は言う。考えた事ありましたか?暖かくなるとなると何故だめなのか答えられますか?
私は「異常気象と海水面上昇」と答えたが、異常気象と温暖化の因果関係を証明できるか?と聞かれると、ええ、答えられませんとも。
海水面上昇にしたって、どうなのか。35センチの海水面上昇がどれほどの問題になるのか。潮の満ち引きで一日に2m近くも水位に差があるのに?今更35センチがどうだというのか。月の引力でアメリカ大陸だって12センチ上下するのに。
マスコミに踊らされてたと思うだに腹が立つ。プリウス売りたいだけじゃないか、と思ってしまう。結局そこに見え隠れするのは、儲けや利権。本気でこの先の「環境」を考えている人はいるのかと思ってしまう。いや、いるはずだ。だが、それを伝えるべきマスコミは、何もしないまま、ただただ国民を「1億総エコ運動」に煽るだけだ。欲しがりません勝つまではのスローガンに隠れたモノと何が違うのか。
環境問題が大きくとりだたされて、一度は「環境問題のウソ」系の本を読まなきゃな、と思っていたが、正解でしたね、ウソばっかりじゃん。でも、ウソのウソって言う場合もあるからね。

Monthly 2008.06

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