春になったら苺を摘みに

梨木香歩さんです。
理解はできないが、受け容れる。日常を深く生き抜く。
この二つをテーマにしたエッセイ。ウェスト夫人の生き方こそ「理解はできないが、受け容れる」というもので、主にこのウェスト夫人と彼女に関わって経験したこと考えたことが中心になっている。

梨木さんの本にはいつもこの「理解はできないが、受け容れる」態度や、もう一つ「わかっていないことをわかっている」という態度がテーマになっているように思う。それから、日常賛歌と思えるほどに、日々を生きることへのこだわり、しかもただただ生きるのではなく、「深く生き抜く」こと。
そう言うものが深く心に響くのは、わたし自身が同じように「深く生き抜く」ことを望んでいるからかも。
現実はただただ時間と仕事に追われて、半分以上「自分」を見失っている。あたしはだめだ、自分を見失うと他人も見失ってしまう。ついついいろんなことがいい加減になって、心が鈍る。すぐに「どうでもいい」と思ってしまう。何一つ「どうでもいい」ことなんかないはずなんだけど。
そう言う自分に対する戒め、というより、ちゃんと現実に向き合って踏みとどまるための錨みたいな存在かもしれない。
梨木さんの本を読むなら、ベタですが、『西の魔女が死んだ』がおすすめです。そして『家守綺譚』が面白かったら、あとは何を読んでもヒットだと思います。

Monthly 2008.05

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